よく無くす

 今日は、父は皮膚科に行ったのだが、帰ってくるなり、大騒ぎだった。まず、保険証が無いと、そして次に診察券が無い一人で慌てていた。病院に電話して探してもらったりした結果、保険証は自分の部屋の机の上に、そして診察券はワイシャツの胸ポケットにそれぞれあった。父は一人で反省し、病院に謝りと感謝の電話を入れていた。

 そうした父の行状を見ていて、だんだん感情が動かなくなる自分がいる。一応、大騒ぎして、探すのを手伝う。確かに診察券は私が見つけてあげた。しかし、思いのほか、私は、よく言えば冷静、悪く言えば無関心になりつつある。これが4月、5月であったなら、私は瞬間湯沸かし器のごとく怒っていた。なぜ、私が変わっていたのかと言えば、一つには怒っても何も変わらないことにようやく気づいたことである。何を言っても、翌日にはきれいさっぱり父は忘れる。言っても意味がないのである。それなら、余計なエネルギーを費やすのではなく、もっと意味のあるの事にエネルギーを割く方が結果的にはちちにとってもプラスなのではないということに気づいた。私は以前なら消耗していたエネルギーを母のサポートと自分の生活に振り分けるようにするつもりだ。あと、もっと介護を勉強したいと思う。