入院即退院2

 昨日の話の続きである。朝起きて、10時に私が病院に行くと、先生から治療に関する説明を受けた。結論から言えば、「単なる老化による骨などの衰え」だそうだ。レントゲン写真を見せて解説して頂いたのだが、父の背骨は実は年齢に比して真直ぐで変な湾曲などは無いとのことである。ただし、所々、写真で白くなっている所が老化による劣化が現れているとのことである。これが痛みの原因ではないか。あとは認知症の人は、少しの痛みでも感情的になる所があるとの説明もあった。先生によれば、むしろ認知症の方を何とかしないと、ご家族の方が先に倒れると元も子もないとのことである。したがって、早く介護保険の申請をしなさいと指摘された。

 私は、今まで勘違いをしていた。まず、認知症の認定を医者に受けてからでないと、申請ができないと思い込んでいた。申請自体は医者の認定等無くてもできることを、今回初めて理解した。己の愚かさに愕然としつつも、先生からは、今日のうちに包括センターで申請書をもらってきて、作業を進めた方が良いとのことだった。

 そして父の具合を私が尋ねると、父は一晩休んで、食事もとり、元気になっているとのことである。それ故に退院した方が良いとのことだった。正直なことを言えば、もう少し病院にいてくれた方が私や母としては助かるのだが、先生は、そんな私の気持ちを読んだのか、むしろ慣れない環境にいると認知症が進行するから、自宅に置いた方が良いと説明した。私は、またあの失禁やら電話やらが続くのかと思うと、うんざりした気分になったが、退院を了承した。先生との面談が終わると看護師が私のところにきて、父が帰りたいとギャーギャー騒いでて大変とのことである。このままでは飛び出して行ってしまいそうだとも言った。なんか、厄介者の父をみんなで押し付け合っているような気分がして、なんとなく私は父に対しても、病院に対しても申し訳ない気がした。

 看護師に対して、私は着替えを持って後ほど迎えに行くと言って、そのまま、病院を後にした。そしてその足で、包括支援センターに行って、申請書をもらいに行った。職員の人に事情を話すと、色々と説明をしてくれた。そして申請の方向で進めていきましょうと言ってくれた。私は包括センターを後にして、自宅に戻り母に一連の流れを話した。母も正直な所、がっくりしていた。気持ちはわかる。父のこれまでの行状を振り返れば、私も母と同じ気分である。私と母は、愚痴りつつも、申請書の事について話をした。そして私の勘違いについても話した。母もあまり分かっていなかったらしく、私も母も結局、勉強不足だったということに尽きるのである。母は早く申請書を書く方向で進めたがったが、それを書くのは結局私であり、なんだか私としてはやりきれない思いだった。とにかく申請書の前にやることがあり、それは父を迎えに行くことである。

 

続きは明日以降