休みの日は心底安らぐ。

 本当に休みの日は心底安らぐ。父もボケていても今日が祭日であることは認識できるらしい。おかげさまでゆっくり過ごすことができたと言いたいのだが、夕方になって、また電話をあちこちにかけ始めた。理由を問うと、何でも父は所属が変わったとのことである。そして週休二日制が導入されたが、その理由が分からないから、あちこちに電話をかけているとのことである。何を言っているか、わからないかもしれない。聞いている私もよく分からないのだ。父は明日職場に行くらしい。なんでも重要な集まりの会があるとのことである。恐らく、明日は職場の元の同僚の方が電話を朝してくれると思うので、職場への襲撃は阻止されると思う。

 父のおかげで、我が家の電話番号を迷惑電話として登録されている方が増えているようである。私はこんな情けない事は無いと、昨日父に話したが、父は、元々大した知り合いでもないから問題ないと言う。そんな事は無い。みんな父が現役の時には親しくしてくださった方々である。そんな言い方はないだろうと心の中で思ったが、もう何を言っても無駄なのだと思った。前にも「もう内には電話をかけないでください」と父にハッキリ言った方もいた。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。でもどうしてよいのか、もうわからないというのが正直な話である。

 

今、『医者の僕が認知症の母と過ごす23年間のこと』(自由国民社、2022年)という本を読んでいる。この本においても、認知症の症状が出ても、認知症の検査を徹底的に拒否する著者の母親の話が書かれている。境遇は異なることも多いが、この頑迷な所が私の父とよく似ている。まだ少ししか読んでいないが、これからも読み進めて行ければと思う。