洗濯物祭

 案の定、朝から失禁した。シーツやら下着やら大量に干すことになった。ところが干したら干したらで「パンツが一枚もない」と騒ぎ立てる。この洗い物地獄がこの先ずっと続くのだろうか。

 ついでに言えば明日から職場が再開(という設定)である。父は失禁しまくって、トイレで痛い痛い叫んでいたにもかかわらず、どうやら行く気のようである。なんでも写真をとるとのことである。退職した爺さんには関係ない話でありバカバカしい話である。色々説明しても「俺はまだクビになっていない!」だのなんだの言って騒がしい。

まず、大量の洗濯物をなんとかしてからその大言を吐いて欲しいものである。

 あと、思ったのは、こっちが色々過去にこうだった、ああだったと教えてやっても、父の方は、「何でそんなことを知っているんだ」と言った感じで凡そ感謝より不信の感情が先に来るようである。自分が忘れしまっている情報をなんでこいつがこんなに知っているんだということなのだろう。

 認知症の人間は、基本不信と猜疑心が強い。いやそうではない御家庭もあるのかもしれないが・・・。そういうご家庭が心底羨ましい。

 年をとると、新しいものについていくことが億劫になって、やがて拒絶するようになる。あとは、脳が刺激受けることなくボケ一直線。見事に父はこのルートを歩んでいる。

 あと、父が股引だけうろついている姿を見た時、なぜか、私は、それまでスウェットで過ごしていたけど、最低チノパンを穿いて過ごそうと思った。バカバカしいと言えばそれまでなのだが、なんかとてつもなく情けない姿を見せつけられた気分がして、自分がちゃんとしなければと思った。