夏の終わり

  昨日の父は、電話攻勢をあちこちに仕掛けていた。朝からご苦労なことである。そろそろ夏休みが終わりということもあり、父も不安に駆られているようである。昨日も、元の職場に電話をかけた際、先方から来なくて良いと言われて父も納得したと言って電話を切ったすぐ後に、また自分は行かなければならないのか?みたいな事をぶつくさつぶやきはじめ、あちこちに電話をかけようとする。おぞましい執念である。とにかく行く口実や大義や正当性を探し求めている。口では自分は引退しただのなんだの言っているが、行きたくて仕方ないのだろうと思う。この執着が端から見ていて心底気持ち悪い。

 何度も何度も母に今日は何日だと尋ねる。8月30日だといって聞いて、納得はするのだが、しばらくすると、また何日だと尋ねる。前に書いた通り、時間の感覚が本当に消滅してしまっており、新聞の日付を自分でも良く見ている。父のとって、新聞とはもはや日付確認のためのツールなのだと思う。

 昨日は、寝てもちょくちょく起きてきて、明日は何日だと何度も訪ねてきた。明日から9月1日。いよいよ面倒くさい日々が始まりそうである。