認知症の父が「認知症と行方不明」を見ていた。

 昨日は、私も家にいた。父も家にいた。やはり元の職場に電話攻勢をしかけてはいたが、昨日は先週と比較すると少ない気がした。昨日、夜、父はNHKの番組「認知症と行方不明」を見ていた。何かの冗談だろうと思ったが、結構、一生懸命見ていた。私も内容に惹かれて一緒に見てしまった。私が見ていて衝撃だったのは、フルマラソンをやっていて、ボディビルも経験していたおじいちゃんが認知症になってしまったという事例だ。私は最近、自分なりに認知症に関する勉強を始めているが、認知症にならないためには運動が重要ということが、いろいろな媒体で言われていた。ところが、上記の通りである。他にも毎朝散歩を欠かさないおばあちゃんが認知症になったという事例も紹介されていた。父より若い75歳の方だった。加えて、59歳で認知症になった事例も紹介されていた。私は打ちのめされたような気分であった。

「これじゃ、何をやっても認知症から逃れられないのか」と思ってしまった。

父は、そんな私の気持ちを察したのか、「歳を取ればみんなこうなっちゃうんだよ」とえらく、人ごとのような発言をしていた。父は自分が認知症であることをどうも理解している。しかし、認知症自体は加齢に伴い誰にでも発生する記憶能力の衰えぐらいにしか思っていない。

 とにかく、認知症の父が認知症に関する番組を見ているなんとも言えない状況に遭遇してしまった。