入浴(前回4月5日)

 昨日の父は、再び電話攻勢を仕掛けていた。元の職場の仕事がはじまったからである。父は午後までたっぷり寝た後、2023年度の日程表を眺めながら、自分が欠勤してしまったと一人で大騒ぎしていた。そして、行きついた結論はと言うと、熱があるという設定をつくって、元の職場に言い訳の電話をした。別にそんな言い訳をしなくても、はなからあなたは戦力外ですと言いたかったのだが、変なガラガラ声を作って一生懸命言い訳をしている姿を見ていると、なんか呆れてしまい、もうどうでも良くなった。元の職場の方々には申し訳ないとは思うが、お許しください。

 父のド下手な演技を交えた電話攻勢が終わった後、今度は風呂に入ると言い始めた。昨日は、私がイラついて、父に対して、母の食事準備中に風呂に入るのはやめろ、そうでないと母が作業を中断しなければならなくなる。私がいない時にそれをやられると母一人で父の風呂の手伝いと食事をやらざるを得ず、母が疲労する云々といった事を言うと、父は一人でイラつき、風呂に入るのを止めてしまった。だから、今回は、私は何も言わず、父が風呂に入るのを手伝った。まあ、風呂に入ること自体は、いつも言っているが清潔さを保つ上で大歓迎である。

 風呂に入る時は、レッグパックをカテーテルから外し、カテーテルの接続口にキャップを入れる。これをはめることで、風呂の水がカテーテルの中に入らないようになっているが、これを装着することでおしっこの流れを体内で止めることにもなり、長く付ければ、膀胱や尿道におしっこが溜まり、それこそ再び感染症により入院ということになる。ところが私も母も少し油断したのか、このキャップを外すことを忘れてしまい、父は急にお腹が痛いと言い始めた。私はキャップがおしっこの流れを塞ぎ、膀胱内に溜まったからだとと思った。そしてキャップでふさぐとおしっこがどんどんたまり、その結果、カテーテルをつたっておしっこが漏れ出して父の履いている股引が濡れてしまった。私は父を椅子に座らせ、キャップを外した。そしてバケツを添えて、そこにおしっこ出させた。途端におしっこが今まで塞がれていたカテーテルの部分から出てきた。それと同時に父はすっきりしたと言った。あとは落ち着いた様子だった。

 以前にもキャップを長時間つけて過ごしてしまっていたことはあったが、おなかが痛いとか、おしっこが漏れ出るということは無かったと思う。なにがしか、父の体内の機能が衰えているのかもしれない。