怒りをぶつけない

 昨日も、咳は止まらず、熱も37度6分まで上昇した。着々と悪くなっている。私はそんな父を見ながら、全く同情する気にもなれなかった。私がこの家にもはや薬もないから、病院に行こうと言っても行こうとしない父に対しては、同情などという感情が芽生えようはずもなかった。

 とはいえ、このまま見殺しにするのも、なんか胸糞が悪いので、今日の父の様子を見て、病院に連れていくか、あるいは近所の医者に往診にきて貰おうと考えている。こんな時のための介護保険である。この男は外面だけは一丁前に気にする人間であることはすでに把握済みである。医者が来たら、大人しく従うであろう。私はよく知っているのである。

 昨日は、ネチネチ嫌味を言ったりしたが、今日はそうした行為はできる限り控えてみようと思う。少しずつ、自分や母が消耗しない方法を模索して行かなければならない。