また、逃げる。

 昨日は父にもの忘れ外来に行くように言った。しかし、父は高齢になれば、もの忘れは普通だと言って行こうとしない。私は、確かに高齢になれば、記憶力が衰えるのもおかしくはないけれど、あんたのそれはもう深刻だ、このまま国や自治体のサポートを受けなければこの家は破産するぞ、と言った。正確には、ここまでストレートには言っていない。どうしても相手に対して言葉を選ぶことになり、あまり真意は伝わっていないように思える。もっとも、父は自分にとっては不快な事実であることは察知したようである。「やはり病院に行くのは怖い」と言って、自分の部屋に引き籠ってしまった。

 以前にも何度も書いたが、よそのお宅の事例を見ると、認知症だと気づいたら、周りに迷惑をかけたくないと言って、自分で病院に行ったという話をよく見る。私は心底羨ましいと思った。そういう人のお話に触れる度、本当に強い方だと改めて敬意を表する。翻って我が家の父を見ると・・・という思いである。日頃立派なことを言う人間に限って、こういう時、本当の素の姿が現れるのだと思う。それまでのキャリアとかそんなものは関係ない。

 私はこれからもしつこく言っていく予定だ。恐らく私が昨日言った事も今日になって、もう忘れているであろうが、しつこく言っていく予定だ。