睡眠時間を削る

 職場襲撃から、尿道の管にフェイズが移行しつつある。父は、まだ職場に未練を残しつつも、尿道に管が入っている現状を考えると、もう引退だと思っているようだ。

 認知症のせいなのか、それとも父の性格によるものなのかよく分からないが、都合よく歴史が改竄する。例えば、現役時代にも尿道に管を入れて仕事をしていたことがあると平気で私たちに言ってくるのである。私も母もそんな姿を見たことが無い。あとは風呂には毎日はいっているというが、これも全くの嘘である。とにかく、今の自分の状況を受入れるために歴史を改竄をする。前後の矛盾をつつこうとすれば、いくらでも突けるようなしょうもないウソではあるが、最近は、嘘を嘘のまま放置するようにしている。認知症の人間に「論破」は本当に意味がない。勝っても何か私に得られるものはない。「論破」して、父の行動が何か改まるということもないのである。心の平安を保てるのであれば、私は平気で父の作り出す虚構に乗っかっていこうと思う。

 私も、私で反省することがある。父に対して物を説明している時、自然と上から目線で物事を説明している時がある。別に私が偉いわけではないし、私が頭が良かったわけではない。単純に父の記憶能力や認知能力が下がっているだけに過ぎない。

 父は、私が色々説明している時、「なんでそんなことを知っているんだ」、「自分は商人した覚えはない」と私に突っかかってくるが、私の無自覚マウントにイラついてる部分のあるのではないか。

 今後は映像や録音をのこしつつも、単に記録を証拠として突きつけるのではなく、己の心持地にも注意を配らないとダメな気がした。