元気になればなったで・・・

 元気になればなったで、問題が発生するというのか、困ったものである。ここ最近は、私の不在時に、職場を襲撃したり、元の同僚の家に電話攻勢を仕掛けたり、入院以前の質の悪い行動パターンに戻りつつある。私としては、こうした迷惑を蒙った家には、お中元を贈ることを考えている。もちろん、そんなものをもらったところで、不愉快なものは不愉快ではあろう。しかし、何もやらず、ただ、ひたすら父の行動を見守るというのも、中々歯がゆいものがあり、やれることはやった方が良いという思いである。

 昨日は、約2週間ぶりに風呂に入るということで、私と母は準備した。前にも触れたかもしれないが、風呂に入る時は、おしっこパックをはずして、一時的にDIBキャップという止め栓でカテーテルを塞ぐ。そして風呂から出たら、元のおしっこパックにつけ直す。これを怠り、CIBキャップをつけっぱなしでいると、膀胱におしっこが溜まり、また、おしっこの雑菌が全身を回り、熱を出し、ひいては敗血症のような病になる。前に、これを外そうとしたとき、父が強烈に抵抗して、結局、これを付けたまま12時間以上過ごしたことがある。私はこの時の記憶のせいか、DIBキャップを取り付ける時、とても緊張する。ところが、父は、途中で気が変わったのか、風呂には入らなかった。ちょっと前であれば、私は絶望と怒りで、父を怒鳴りつけていたのだが、もう、何を言っても理解できない頭になりつつある父にはそのような行動は無駄である。淡々と、行動するのが一番である。いちいち反応すればするほど、こちらの体力が消耗するのである。理解と説得というものがいかに時間の無駄であるかを最近痛感しつつある。結局、私は、淡々と、DIBキャップを外せと要求し、無表情でおしっこパックを付け替えた。   

 そして、5月13日(土)16:00、父は、相変わらず、「仕事」の電話と称して、つながらない電話をあちこちにかけている。風呂に入る等、微塵も覚えていないであろう。