引退即復帰

 なんだか宮崎駿みたいではあるが、これは父の事である。昨日も、元の職場に行くと前日に言っておきながら、結局、家に居たのだが、こんな時は必ず電話攻勢を仕掛ける。あちこちに電話をかけるうちに、引退するとか言い出した。別に今回に限ったことではなく、周期的に出てくる話ではある。色々元の職場にある私物の整理をしなければなあ、等と一人でぶつくさと呟いていた。しかし、私は驚いたり、これで全て万事解決する!等とはしゃいだりはしない。案の定、数時間後、私が、引退について話しかけると、父は何を言っているんだと言って、明日、元の職場に出勤すると言い始めた。

 私も母も、もはやこの手の変化には慣れっこであるので、もう驚きもしない。むしろ気になったのは、その変化の速さである。午後のお昼に引退とか言っていたのに、午後夕方には、その話について父は忘れているのである。数時間で忘却してしまっており、その忘却のスピードが速すぎる気がする。確実に父の症状は進行のスピードを速めているのだと思うと、色々こちらもボケっと日々を過ごしているわけにはいかないのではないかと思う。