中々終わらない

 昨日の父は、終日、電話攻勢を仕掛けていた。立ちっぱなしで良く電話をかけ続けられるなあと、いつも思う。体力おばけである。足が痛い、腰が痛いと呻いているはいるが、こと元の職場のこととなると、何時間も立ちっぱなしでいられる。正直、何とかして欲しい。まあ、当然なことではあるが、誰も電話にはでない。なにしろ、父が見ている電話番号簿は平成16年のものだからである。もう引っ越したりしている方もいるだろう。それに先方も着信拒否設定を恐らくしている。当然である。ゆっくり過ごしたい休日の夜に自宅に向けて無職の御爺さんから突然電話がかかってくるのである。気持ち悪い話である。それでも父は諦めず、執拗に電話をかけ続けた。最近は留守番電話にメッセージを残すということを覚えたようである。これも中々気持ち悪い。最後に「電話を待っています」と言って電話を切るのだが、当然、返事は帰ってこない。父もさすがに申し訳ないと思ったのか、かけ直して、急ぎで無い旨をまたメッセージに残す。

 兎に角今回は、しつこいのである。何があっても元の職場に行きたいのである。わずかな言葉のあやを見つけて、そこに難癖をつけて電話をかけようとする。そしてあわよくば、復帰しようとしているのだろう。もう、父のこうした言動には慣れたかと思ったが、中々慣れないものである。