また一人で病院に行く

 昨日、私は終日外出していたので、父の様子はよくわからないが、家に帰ってきたとき、玄関に父の余所行きの革靴が置いてあったので、なんか嫌な予感がした。母に尋ねると、案の定、一人で泌尿器科に行ったらしい。確かに昨日、血尿が出ていた。その時の不安は、何故かボケた頭でも記憶していたのだろう。血尿が収まっても、不安に駆られて、病院に行ったのだと思う。しかし、本当に行ったのかは、私は分からない。なぜなら、領収書がないのである。尋ねてみると、そんなものは貰わなかったと、のたまう。領収書を無くしたことはこれで3度目である。この返答を聞いた時、当初、私は怒り狂って、怒鳴り散らしたりしたものだが、病院側で再発行してくれることがわかったので、私は当初のように怒鳴り散らすことは無くなった。とにかく、この領収書の消失により病院に行ったという確信が得られないのである。以前も父は病院に行こうとしても、道に迷ったり、いつの間にか、病院に行くことを忘れて、あちこち彷徨った挙句帰ってきてしまうことが度々あった。私は、今日、病院に本当に父が行ったのか、連絡する予定である。

 有難いことに、今日の私の仕事の打ち合わせはオンラインで済むようだ。毎度、オンラインでいいと思う。

 度々の父の血尿については、私は長時間かがんだ姿勢で行う作業にあるとにらんでいる。たとえば、小さな箒とちり取りを使った掃き掃除等である。父はボケる前、よく小さな箒とちり取りを使って、階段の掃き掃除をしていた。私や母は全然掃き掃除をしないとブツブツ文句を言いながら、毎日やっていた。ボケてからは、まったくやらなくなったのだが、昨日は、汚れが気になったのか、何故かやり始めた。その作業の直後、血尿が出始めたのである。恐らく私の予想は当たっていると思う。あとは、かがんで、段ボールを切って、切った段ボールをひもで結わく作業なども怪しいとにらんでいる。

 かがむと、カテーテルが膀胱の壁に当り出血するのではないかと思う。まあ、原因が分かったからと言ってどうなる物でもないが、原因不明なものに怯えることが少なることを考えると、何というか心が落ち着くのである。