落ち着きのない男

 昨日は、外出していたため、日中の父の言動がどうであったか、十分に把握できていない。帰宅後、母に聞いたところ、父は広尾まで外出したとのこと。なぜ・・・と思ったが、父が、かって勤めていた場所であることを思い出した。父に尋ねると、我が家に誰かわからないが電話がかかってきて、家庭教師の依頼があった。だから広尾に行ったという。何を言っているのか、わけがわからないと思うが、本当にそんなふわっとした情報だけで飛び出してしまったようだ。もう、まともな判断ができるとは思えない。衝動だけで飛び出してしまっている。ハッキリ言って動物以下である。警戒心も何もない。とにかく、自分の仕事関係、もしくはそれに関連することになると、途端に理性を失うように思える。父によれば、2~3日前に誰かから電話ががあって、母が最初にその電話を受けて、父に伝えたという。母はそんな電話受けていないという。私もここ数日、家に居たので、そんな電話はとっていないと父に伝えた。父は、私と母に否定されて、「ぐぬぬ」と言った感じで、執拗に食い下がってきたが、私と母が頑強に否定したので、しぶしぶと言った感じでこの話を止めた。

 父の思考パターンは誰かから依頼されたから自分は動くということが多い。本当は自分がしたいことなのに、自分から頼むのは、プライドが傷つくのか、人から頼まれた、元の職場から仕事の依頼があったといった形で、動くことが多い。上の話でも母が電話を取ったというのもお決まりのパターンである。とにかく、自分は人から依頼されたから動く、つまり、人から頼られるということにとても飢えているのだと思う。

 心理学でもこうした承認をめぐる欲求は人間の中でももっとも強い欲求の一つらしいし、気持ちは分からなくもないのだが、なんとかならないものだろうか。

 昨日は外出したからか、久しぶりに血尿を出した。以前も書いたが、激しい運動や不自然な姿勢で長時間作業をすると、カテーテルが膀胱内の粘膜を傷つけたりすることがあるらしい。昨日は外出に加えて、布団を畳んで押し入れに入れる作業を行ったらしい。我が家の布団は重く、いつもは私がやっていたのだが、昨日は外出していたため、その作業ができなかった。私としては布団はそのままにしておいてくれと言っておけば良かったのだが、父は恐らく言っても聞かなかっただろうとも思う。上の承認欲求の話ではないが、自分ができないと思われることを異様に恐れるし、侮られることに敏感である。論語に書かれているように、年を重ねるごとに、「不惑」、「天命をしる」等と言うのは、はっきり言って嘘だと思う。少なくとも父を見る限り、どこまでも自分の欲望に忠実で、自分の「分」というものを分かっていない。もしかしたら、認知症がそうさせるのかもしれないが、恐らくに認知症になるならない関係なく、元々つまらない所で負けず嫌いな部分があって、結局、年をとっても、そうした性格は治らないということなのではないだろうか。

 昨日は、日中、私は介護保険の申請について、かかりつけの先生に相談をした。本当に色々と忙しくなっている。